◆ 第三回:成績アップを邪魔する七つの大罪 ③

 成績アップ邪魔する原因として、前回は「言われた通りの方法を使わない」というのを説明させてもらったね。

 それでは、今回は四つ目の紹介だけど……実は、七つの原因の中でも、最もシンプルなものを紹介させてもらうよ。


 

 シンプルってことは、簡単っていうことだよね。

 あまり難しい話じゃない方がいいから、助かるかも。


 

 そう、なにも難しいことじゃないよ、今回の話は。

 成績アップを邪魔する七つの大罪の四つ目……それは、「量をこなさないこと」だからね。


 え~、なにそれ面倒臭い!

 量をたくさんやらなきゃいけないって、そんなの当たり前じゃん!

 なにかこう、パ~ッと楽にできるようになる方法とかないの?


 ないわけじゃないんだけれど……それをマスターするためには、やっぱり量をこなさないと話にならないよ。

 英美さんは、一度でも聞いた話は、絶対に忘れないのかな?

 どんな問題でも簡単に解けるようになる裏技を教わったとして、ほとんど練習をしない状態でテストを受けて、習った裏技を使いこなせるのかな?


 さすがに、それは無理だけど……。

 でも、やっぱりたくさん練習しないといけないのって、な~んかやる気が起きないのよね。

 ガリ勉とか脳筋みたいなイメージで、やっていても面白くないっていうか……。


 確かに、その気持ちはわかるよ。

 でも、別に「毎日何時間も勉強しろ」と言っているわけじゃないんだ。

 あくまで「回数をこなす」ことが大事なんだから、毎日10分、寝る前に英単語の練習をするだけでも、それを1週間続けたら、ちゃんと力になるはずだよ。


 あ、そうか!

 だったら、別に漢字や英単語の暗記で、1日に何時間も勉強する必要はないんだ!

 今までは、テスト前にまとめて一気にやっていたけれど……あれって、もしかしてあんまり意味なかった!?


 一夜漬けの記憶は簡単に忘れてしまうから、できれば毎日、少しずつ勉強した方がいいだろうね。

 それと、コツコツ勉強することと何時間も一気に勉強することを同じように考えてしまう人がいるけれど、これらは全くの別物だからね。

 毎日勉強することは、必ずしも一度に何時間もまとめて勉強するってことじゃないんだ。


 毎日10分か……。

 部活で忙しい時もあるから、そのくらいだったらなんとかなるかも。

 集中力続かないときでも、何時間も勉強するってわけじゃなければ、続けられそうね。


 スポーツでもなんでもそうだけれど、日々のトレーニングそのものが楽しいっていう人は、あまりいないはずだよね。

 本当に楽しいのは、努力が実って結果が出た時!

 でも、その努力が辛いから、多くの人が途中で投げ出してしまうわけだけれど……一度にまとめて限界以上のハードワークをしようとしたり、反復練習そのものを楽しもうとしたりしていたら、嫌になるのも当たり前だよ。

 何度も言うけれど、ここで大事な「勉強の量」っていうのは、回数を重ねて手に入れて欲しいものだからね。

 一気にやろうとするんじゃなくて、途切れることなく、少しずつ繰り返すことで、身体の中に溜めて行くものなんだ。


 

 確かに……よくよく考えてみたら、どんなに好きな教科でも、宿題そのものが楽しいっていう人は、あまりいないかも……。


 前にも言ったけれど、宿題は「正しい解き方」を定着させるために出しているものなんだ。

 「正しい解き方」が定着しなければ、いざテストの本番でやろうとしても、正しい解き方を使えない。

 解き方を守らないのは良くないといったけれど、そもそも「守りたくても守れない」状態のまま放置していたら、いつまで経ってもできないままだよね。

 そして、その「正しい解き方」を定着させるのに必要なのは、毎日少しずつ勉強して、頭の中に「この情報は大事なものなんだ!」と意識させることなんだよ。


 

 それって、自分に言い聞かせるってこと?

 自己暗示みたいな感じなのかな?


 う~ん……。

 ただ言い聞かせただけでは、あまり効果はないかもしれないね。

 人間の脳っていうのは、寝ている時に、あまり使われることのなかった情報を整理して記憶の奥底にしまいこんでしまうんだ。

 だから、どれだけ言い聞かせたところで、やっぱり回数をこなさないと意味はないよ。

 自分で言い聞かせるというよりも、何度も繰り返し練習することで、脳に「これは忘れてはいけない情報なんだ!」と認識させるってことだね。


 

 自己暗示だけで覚えられれば楽勝って思ってたけど、さすがにそれは無理か……。

 習うより慣れろって言葉を聞いたことあるけど、そんな感じなのね。


 そういうこと!

 勉強っていうと、勉強した時間や、連続で何時間机に向かっていたかばかりを気にする人がいるけれど、そんな表面的な部分だけ気にしているのはナンセンス。

 本当に大事なのは、取り組んだ回数と、正しい方法を定着させることだからね。

 それができているなら、他の人が1時間必要な勉強を、30分で終わらせても大丈夫だよ。


今回のまとめ!

 【成績アップを邪魔する七つの大罪!

 

 第四の罪:量をこなさない 

  どれだけ優れた方法でも、量をこなさなかったら定着しないし意味はない!

  まとめて何時間も勉強する必要はない。毎日必ず1問は取り組むぐらいの姿勢が大事。